2012-12-30 更新
原題:DJANGO UNCHAINEDクエンティン・タランティーノ、1992年に自らの脚本による初監督作品『レザボア・ドックス』を世に放ち(日本公開:1993年4月)、粗野で下品で差別用語連発の脚本とかつてないほどの過激な暴力描写で良識派の映画人を恐慌に陥れ、その一方、緻密なプロット、リアルとマンガのぎりぎりのラインで描かれるバイオレンス、人間の常識的感性を突くユーモアの絶妙なブレンドは、世界中の映画ファンを熱狂させた。その結果ヨーロッパをはじめとした世界中の批評家から高い評価を得、一躍時代の寵児となった男。
あれから20年――、溢れんばかりの才能ながらその間の監督作は7本(オムニバス『フォー・ルームス』の一話を入れると8本)という寡作のタランティーノが8本目に選んだ題材は、南北戦争勃発の約2年前、リンカーン奴隷解放宣言の5年前の1858年アメリカ南部を舞台にした西部劇。ジャンル映画にこだわってきたタランティーノだからこそ、20年目の作品をして究極のジャンル映画“マカロニ・ウエスタン”の枠組みを選んだのは当然といえるかもしれない。
主役はクリーンな正義漢ではなくアウトロー、残虐性の高いバイオレンス、悪を持って悪を制す毒のある闘い、乾いた空気感など、ジャンル映画ならではの“お約束”を踏まえながらも、そこはタランティーノ、主役は奴隷からガンマンになったジャンゴ、その相棒は元歯科医でドイツ人の賞金稼ぎシュルツ、二人が狙うのは、奴隷デスマッチ観戦が趣味でフランスかぶれの領主キャンディ。この振り切ったキャラクター設定で描くのは、タランティーノにしては珍しいアメリカ大自然の一大ロケーションをバックに、妻を奪われた元黒人奴隷が彼女を取り戻す、ただそれだけのために白人の権力者に挑むという痛快な復讐劇であるとともに、ピュアなラブ・ストーリー。
まさに、これぞ究極のタランティーノ映画!と言える、一筋縄ではいかないクロス・ジャンル映画がここに登場した。
1858年のアメリカ南部。奴隷のジャンゴが、元歯科医にガンの手ほどきを受け、賞金稼ぎで荒稼ぎ! へんてこなコンビが涼しい顔して、お訪ね者を次々殺しまくる。ジャンゴの目的は、ただひとつ。彼の自由と妻ブルームヒルダを奪った白人に復讐し、妻を取り戻すこと。
妻が農園の領主ムッシュ・キャンディの元にいることを突き止めたジャンゴ。だが、キャンディは奴隷たちを鍛え上げ、互いに闘わせて楽しむ極悪人だった。妻を取り戻すための‘生きるか死ぬか’の壮絶な戦いが始まる――。
(2012年、アメリカ、上映時間:165分)
キャスト&スタッフ
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、ケリー・ワシントン、サミュエル・L・ジャクソン、ジョナ・ヒルほか
配給
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2013年3月1日(金)より丸の内ピカデリー他全国ロードショー!
オフィシャルサイト
http://www.django-movie.jp
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