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2012-03-10 更新
メリル・ストリープ、フィリダ・ロイド監督
配給:GAGA
2012年3月16日(金)、TOHOシネマズ日劇 ほか全国ロードショー
(C)2011 Pathé Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute
映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の記者会見が都内ホテルにて行われ、本作で第84回アカデミー賞主演女優賞を受賞した主演のメリル・スリトープがフィリダ・ロイド監督と共に登壇し、映画への想いを熱く語った。メリルの来日は、『マンマ・ミーア!』(08)以来、3年ぶり5度目となる。
イギリス初の女性首相として強力なリーダーシップを発揮したマーガレット・サッチャー。年老いて認知症となったサッチャーが、過去を振り返る形で展開する本作。メリルが渾身の演技で魅せる。
「この作品を持って来日できたことを誇りに思います」と笑顔で挨拶したメリル。これまでにも実在の人物を演じたことはあったが、現在も存命している人物を演じるのは初めて。メリルは、「それだけ責任が加わりました」と語り始めた。「私はアメリカ人で英国では部外者。イギリスで愛され、憎まれた女性を演じるのは難しかった。また、お年を召されてからのサッチャーさんや、知られていない彼女の日常を融合させていくことが大変でした」と振り返った。
役作りについても「正確で真実に近い役作りを心がけました。彼女は公の人物で政治家だったけど、一人の人間としての生き方に重ね合わせるような演じ方をしたかったのです。成功した人の伝記映画ではなく、彼女の日常を見つめて描いているところがこの映画を興味深いものにしたと思います」と述懐した。
メリルは「サッチャーという人物は(政治という)男社会の中で女を捨てたい誘惑もあったと思うけれど、いつも手にはハンドバッグ、ヒラヒラのブラウスを着続けました。女性らしさを決して失わなかったことが素晴らしいですね」と称賛。続けて、「その一方で、涙や笑いという女性の弱さを見せることを自分自身に許さない強さを持っていました。それが“鉄の女”と言われるゆえんだったと思います」とコメントした。
さらに、「彼女は公の人物ですが、観ている人が彼女の人生に自分の人生を重ねることができるように演じたかったのです」と語った。
また晩年のサッチャーを演じる際、劇中で見せている“老女メイク”について「鏡で見た瞬間、父親に似ていると思いました。父親とサッチャーがミックスされた感覚ですね」と述懐し、会場を笑わせた。メリルは、デビュー以来37年間、仕事をともにし続け、今回初めてアカデミー賞のメイクアップ賞を受賞したJ・ロイ・ヘランドに感謝の意を表した。
監督はサッチャーが下層中産階級(ロウワーミドル)出身であることに触れ、「自らの出自を忘れることなく世の中で重視されてこなかった層、普通の人々の気持ちが分かるということが彼女の魅力と言えるのではないでしょうか」と分析。そして、「物語の核になっているのは、老齢。映画で描くには難しいテーマですが、メリルが演じてくれたことで、より普遍的な作品に仕上がりました」とアピールした。
そして最後にメリルと、ロイド監督はヒット祈願の鏡開きを行った。
大女優メリル・ストリープは、この日ユーモアとウイットに富んだ受け答えで会場を魅了した。
日本は何度も何度も訪れたい国です」と語ってくれたのも嬉しい。こんな女性になりたいと思わせる素晴らしい女性だった。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)
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