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2010-01-30 更新
吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、山田洋次監督
配給:松竹株式会社
1月30日(土) 全国ロードショー
http://www.ototo-movie.jp"
『男はつらいよ』シリーズの山田洋次監督10年ぶりの現代劇。夫を亡くし、ひとり娘(蒼井 優)を育て上げたしっかり者の薬局の女主人・吟子(吉永小百合)と、いくつになっても人に迷惑をかけることしかできない破天荒な弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)との再会と別れ、家族の絆を描いた物語。家族とは、生きるとは何かを描いた感動作。
都内某所にて映画『おとうと』の記者会見が行われ、主演の吉永小百合ほか、笑福亭鶴瓶、蒼井 優、山田洋次監督が登壇した。
山田洋次監督: この映画を作りながら、僕が育ったのはホームドラマを作る大船撮影所だったんだなあとしみじみと思いました。僕らの若い頃は何といっても黒澤 明で、市川 昆や小津安二郎なんてナンセンスだと思っていた。でも年月を経るごとにその偉大さが分かってきた。この作品を市川さん、小津さんに捧げたい。
吉永小百合: こんな弟がいたらどう受け止めるかなと思いながら演じました。私なら支えられなかったかも……。鶴瓶さんが壮絶なダイエットをしていて、日々やつれていくのを見ていて胸が苦しくなりました。そんな気持ちを芝居ではなく本当に出すことができたんです。そういう思いがこの作品にはあふれていて、わたしにとって大切な作品になりました。
笑福亭鶴瓶: この作品に出られてほんとに嬉しかった。2ヵ月で15キロ痩せたんですが、そのときに吉永さんが大根スープを持ってきてくれはったんです。最後には、『(代わりに)わたしが太るから、もう痩せないで』って言ってくれたんですよ! もう死んでもええわ、と思いました。回りのみんながうらやましがるんです。もういっぺんクランクインしたいくらいです。
蒼井 優: 山田監督の作品に出るのが夢でした。自分の憧れていた監督が大好きな役者さんに目の前で演出をつけていて、自分の出番のない時でも現場に行ってかぶりつきの特等席で見ていました。本当に出たのか分からなくなるぐらい幸せでした(笑)。(監督は)想像以上に映画を作るのに夢中な方でした。
山田洋次監督: 鉄郎というのはどうしょうもない奴なんだけれど、救われなきゃいけない男なんですね。顔を見ると許してしまうような人間らしい愛おしさがある。鶴瓶さんならこのキャラクターを演じられると思った。前々から鶴瓶さんには興味があったし、鶴瓶さんなら表現できるだろうと思いました。
吉永小百合: 鶴瓶さんは裏表のない方でいつもほんわかと温かい。でも、夜遅くに(減量のため)今からボクシングを9ラウンドやりにいくと聞いた時は、びっくりしました。そんなことしたら、死んじゃうんじゃないかと。そんな激しい部分もお持ちの方なんだなと思いました。
笑福亭鶴瓶: 心配してもらえると嬉しいんですわ(笑)。吉永さんは、台本と関係ないのに僕の足をさすってくれまして。あの吉永小百合さんが僕の足を、生足をさすってくれるんですよ! 幸せです~(笑)。それから、あの吉永小百合から自宅に電話がくるんですよ。サランラップでコードを巻こうかと思いましたよ。しかも、メールまで来るんですよ! 来たメールは全部保存していますよ。昨日もメールが来てました。もう、どない返事していいか…。蒼井 優はまったくメールをしてきませんけどね! ふざけたヤツや(笑)。
蒼井 優: 最後に鉄郎が死ぬシーンで吉永さんが鶴瓶さんを支えてあげるのですが、カットがかかっても鶴瓶さんはずっとそのままでいるんですよ(笑)、幸せそうな顔で!
吉永小百合: 鶴瓶さんの小さい頃の写真をいただいて、この人がおとうとなんだと思いながら、台本の中にはさんでいました。
笑福亭鶴瓶: 5人兄弟の末っ子でした。何も無い家でしたが、あったかく育ててもらいました。
吉永小百合: 強い母と優しい父に育てられました。二人に反抗して家を出たこともあります。亡くなってしまうと、もっともっと話しておけば良かったと思いますね。
山田洋次監督: どんなに幸せそうな家族がいても、人には言えないような人物が遠縁の親戚とかにいたりするものなんですね。『男はつらいよ』の寅さんというのはまさにそういう、「兄です」「甥です」って人に言えないような存在です。(寅さんとさくらの)兄と妹、本作の姉と弟という違いはあるけど、関係性は似ているな、とはっきり思いながら作っていました。
山田洋次監督: 年末年始は一年の中で一番家族のことを思い出す時期です。(この映画を観て)温かな心を感じてほしい。
吉永小百合: 一生懸命作った作品なのでたくさんの方に観ていただきたいですね。
笑福亭鶴瓶: 家族のことを改めて考えさせられる、いい作品だと思います。
映画『おとうと』は故・市川 崑監督による1960年の同名タイトルの映画にオマージュをささげている作品である。
吉永の優しさや存在にメロメロの鶴瓶が印象的な会見だったが、劇中、鶴瓶は問題ばかり起こしているダメ男を熱演している。家族の絆のいとおしさがにじみ出ている作品なので、ぜひ大切な人と一緒に観てほしい。笑いと涙にあふれた家族の希望と再生の物語に胸が熱くなる。
(文・写真:Sachiko Fukuzumi)