2021-09-27 更新
川添ビイラル監督
純粋な目線で、どこにでも居るハーフの日々の生活を通して、アイデンティティーや日本社会に対する複雑な気持ちを誠実に描いた『WHOLE/ホール』。多様性を目指す現在の日本社会に語りかける本作は、第14回大阪アジアン映画祭でJAPAN CUTS Award スペシャル・メンションを受賞し、北米最大の日本映画祭であるニューヨークのJAPAN CUTS及びソウル国際映画祭に正式出品された。この度、10月15日(金)よりアップリンク吉祥寺ほかにて英語字幕付きで上映されることが決定している本作の、川添ビイラル監督のオフィシャル・インタビューが届いた。
僕の弟が脚本を書く1年位前から、ハーフやアイデンティティに関する映画を作りたいと言っていて、このテーマを扱っていて共感できる映画はあまりないなと気づき、「私たちが作るしかない」という使命感から生まれた映画です。
僕自身は「ハーフ」でも問題ないのですが、ミックス・ルーツの方々の中でも、「ハーフ」でもいいという人もいれば、嫌だという人もいるので、いろいろな想いがあって、いろいろな呼び方があってもいいのではないかと思っています。
私の弟は脚本家ではないので、最初の印象は、いろいろと直していかなきゃいけないなと思いました。同時に弟の伝えたいという想いが伝わったので、それをしっかりと描かないといけないと思いました。
東京ではあまりないですが、関西のほうではたまにあります。
この映画は神戸で撮ることが決まっていたので、しっかりと関西の方を描かないといけないと思い、関西弁は必須でした。そこに本当に住んでいる人として見てもらいたいと思いました。
ハーフの方々にはステレオ・タイプがあるので、それだけじゃないよと伝えたいという思いがありました。春樹は裕福な家庭に住んでいるけれど、両親からの愛情があまりなく、ルックスにも自信がない。誠は自分のことは気にしていないけれど、シングルマザーに育ててもらっていて、大変な経験もしてきたのかなと、お客さんにいろいろなハーフがいると知ってもらいたいと思いました。
本作は弟の経験を元にした脚本で、彼が演じたいというのがあったので、誠は弟が演じました。春樹役は、いろんな方々のプロフィールを見て、初めて海さんが出演している動画を見た時に、「これが春樹だ!」と直感で決めました。
はい。いろいろなハーフの方々を描きたかったので、重ならないようにしました。
神戸生まれ、神戸育ちなので、できるだけ全て神戸で撮りたいと決めていました。
rei brownさんは私の弟の先輩で、「Wouldn't It Be Great」の歌詞が主人公の二人の物語や感情とマッチしていると感じたので、この曲にしました。
まさかと思って、10秒位立てなかったです。これでたくさんの方々に観てもらえるのではないかと思い、ものすごく嬉しかったです。
ミックス・ルーツの方々の経験や葛藤を日々の日常を通して描いているところが見どころだと思います。
今はコロナ禍で、映画館に足を運びづらいかもしれませんが、芸術や映画というのは社会に必要だと思っています。また、この映画『WHOLE/ホール』は、ダイバーシティー(多様性)やインクルージョン(多様性の受け入れ)というテーマについて、間接的に触れているので、映画を楽しみながら、いろいろ感じ取っていただければ嬉しいです。
(オフィシャル素材提供)
関連記事
・公開記念舞台挨拶