2020-05-18 更新
神話が息づく町を、崖っぷちの男女が東京から弾丸旅行する様子がブラックでスリリングに描かれた映画『いざなぎ暮れた。』。アメリカの第53回ヒューストン国際映画祭で、最優秀外国語映画賞<最優秀国際映画賞>と特別審査員賞<準グランプリ>を受賞し、世界17冠を達成した。
本映画祭は2020年4月21~26日まで開催される予定だったが、新型コロナウィルスによる混乱により、物理的な映画祭自体が延期となり、審査のみが行われた。先日審査結果が届き、『いざなぎ暮れた。』は長編映画部門にて最優秀外国語映画賞(最優秀国際映画賞)と特別審査員賞(準グランプリ相当)を受賞した。邦画による最優秀外国語映画賞の受賞は53年の歴史上初めて。
ヒューストン国際映画祭は世界で最も古いインディペンデント国際映画祭であり、過去にはスティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカス、デビッド・リンチ、リドリー・スコットを輩出していることで有名。世界75ヵ国から約4500作品がエントリーされた中で、制作費150万円(『カメラを止めるな!』の半分)、撮影日3日半で制作された本作が、史上初の最優秀外国語映画賞と、特別審査員賞をW受賞したのは大きな快挙と言える。
日本の古代が漂う詩情の中で切羽詰まった男が実の親戚にオレオレ詐欺をするという本作を審査員は、「予期せぬ旅に出た若きビジネスマンのノボルと恋人ノリコ。美保関までの800キロノンストップの旅路は、奇妙な出来事によって彼らの人生をリセットし、別の方向へいざなった」と高く評価。
映画祭からのメッセージをテレビ電話でキャストと監督が共有した写真が届いた他、W主演の毎熊克哉・武田梨奈、ゴロウ役の青山フォール勝ち(ネルソンズ)、笠木望監督から喜びのコメントが届いた。
映画『いざなぎ暮れた。』は4月4日に公開終了。上映は新型コロナウィルスの混乱と重なり、舞台挨拶を無観客にして実施するなど、非常に難しい興行を迫られた。だが今回17冠目となる大きなタイトルを受賞、国内外での評価をますます高めた。再上映やDVD化などの次の動きは今のところ未定となっているが、今回の喜びの報告と上映時の感謝を伝えるため、5月16日20時より、キャストと監督によるYouTube生配信が行われる予定。
詳細は公式HPを参照。→https://izanagi-kureta.com (外部サイト)
<毎熊克哉 コメント>
不安のなか1ヵ月以上自宅に籠もる日々が続き気が滅入りそうでしたが、歴史ある映画祭でのダブル受賞の吉報が届き飛び跳ねて喜びたい気持ちです!
この映画に携わった全員と、美保関の皆様と喜びを分かち合いたいですし、出来ればまた良い状態で劇場公開できたらいいなと密かな希望を抱いています。多くの人に観てもらいたいですから。
活力を頂きました!
ありがとうございます。
<武田梨奈 コメント>
「またリベンジ上映したいね」と話していた矢先、まるで背中を押してくれるかのようなニュースが届きました。
映画にまた大きな希望を与えていただきました。
事態が終息したら、また映画館でお客様とお顔を合わせたいです。
そして美保関の皆さんに「ありがとう」と伝えに行きたいです。
<青山フォール勝ち コメント>
僕の地元で撮った映画が海外で評価されていることに正直驚いています。まだ大変な時期続いていますが、これを機にもっとたくさんの人にこの映画を観ていただきたいです!
<笠木 望監督 コメント>
歴史ある映画祭で大変な賞をいただいて光栄です。時代の変わり目を描いた本作は、いみじくもコロナ禍が最高潮の中での上映となりました。この受賞が、コロナ以前・以後どちらの時代にも響く日本の映画があることを知ってもらう機会になれば嬉しいです。
(オフィシャル素材提供)