2016-03-31 更新
日本の企業で同族企業の占める割合は全体の約95%(2010中小企業庁調べ)。
少子高齢化とグローバル化を迎え、経営層の高齢化・後継者不在は
日本企業が直面する深刻な問題だ。
本作は、経営危機と後継者への委譲を迎えた老舗同族企業に起きる誘拐事件を発端に繰り広げられるクライム・サスペンス。事件のカギを握るのは身代金として指定される伝説のブルーダイヤ<フローレンスの涙>。同族企業に眠る光と陰を描き、現代の世相を写すエンターテイメント作品だ。 本作で主演を射止めたのは、500人のオーディションで選ばれた藤本 涼、ヒロインの役員秘書を演じるのは、『リアル鬼ごっこ』(15年/園 子温監督)などの話題作への出演が続いている桜井ユキ。同族会社の社長・佐藤善一郎を山本 學、副社長・佐藤勇次郎を前田 吟といった日本のベテラン名優が演じ、3代目新社長を宮川一朗太、副社長の長男を池内万作、次男を東 幹人など、安定した演技で定評のある俳優陣が脇を固め、事件当事者と関係者たちの複雑な心理を熱演している。
ダイヤと人命を巡り繰り広げられる、誘拐犯と経営陣のスリリングな駆け引きを描く本作のメガホンをとったのは、小林兄弟監督。初監督作品『369のメトシエラ』では、公的記録のない独居高齢者や育児放棄された戸籍のない児童など社会派なテーマで問題提起し、「ぴあ初日映画満足度ランキング」の1位に輝いた。単館上映から観客の支持を得て、異例の全国40館で上映され、2万人を超える観客動員数で独立系映画の大ヒットとなっている。
そして7年ぶりの新作『フローレンスは眠る』も前作同様、小林兄弟によるオリジナル脚本。独創的な時代を撃つクライム・サスペンスとして見事にその才能を昇華させている。
同族経営である中堅化学工業会社の次期社長・佐藤英樹が誘拐された。英樹の命と交換に、犯人が要求したのは、幻のダイヤモンド「フローレンスの涙」。
ところが、父親であり現社長の佐藤善一郎も、叔父であり副社長の佐藤勇次郎も犯人の要求に応じようせず、善一郎は息子である英樹を見捨てるという。誘拐犯の社長秘書・牧羽 剛はその決断に驚愕する。剛は25年前自分の母親が「フローレンスの涙」のために会社の犠牲となって自殺に追い込まれた事件を知り、その復讐の機会を狙っていたのだ。
剛と手を組んだ英樹の元恋人で秘書課に勤める氷坂 恵は、剛の暴走を止めようとするが、剛の脅迫に善一郎が病に倒れてしまう。一方、勇次郎は、この状況を利用し自分の息子を使い、会社の乗っ取りを画策し始めるのだった。
人命を捨ててまで守ろうとするフローレンスに隠された秘密とは何なのか?
(2015年、日本、上映時間:121分)
キャスト&スタッフ
脚本・監督・編集:小林兄弟
出演:藤本 涼、桜井ユキ、前田 吟、池内万作、東 幹久、宮川一朗太、村上ショージ、岸 明日香、山口果林、山本陽子、山本 學ほか
配給
JungleWalk
4月2日(土)よりイオンシネマむさし村山、プレビ劇場ISESAKI、4月9日(土)よりイオンシネマ日の出、4月16日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
オフィシャルサイト
http://www.junglewalk.co.jp/florence/ (外部サイト)
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